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イノベーション論考【第5回】「iモード」の宿命

インターネット機能に何が起きていたのか?

ここではコンピュータの歴史の中でその一形態であるパソコンの世界でどのようなことが起きていたのかを簡単に振り返ってみることにする。

タンディーラジオシャックのTRS-80 jpg

懐かしいTRS-80

パソコンの黎明期は1980年前後のアップル、タンディ・ラジオシャック、コモドールが御三家、私もラジオシャックのTRS-80のBASIC言語を使って当時のキャラクターベースの画面に友人や恋人を楽しませるためにインベーダゲームを作ったりして楽しんだものだ。

その後1984年にIBMが発売した「PC/AT」の互換機連合が次々に世の中のパソコンを駆逐していくことになる。
そしてこの流れが世界中を駆け巡りそれに対抗する、歩いは機能的に類似するコンピュータシステムはことごとく駆逐されていくことになる。
言語の壁で守られていた日本でも1990年に日本IBMが「DOS/V機」を出すことになり状況は一変することになる。 話を具体的にするために3つの実例を挙げておさらいしておこう。

●日本語ワードプロセッサーは?

1978年東芝が開発した630万円の日本語ワープロはその後、電機メーカー、コンピュータメーカー、電卓メーカーを巻き込んで熾烈な競争の元急速に発展していき、10年間で値段が100分の一、性能が100倍に上がったとされるが、1990年に日本IBMが発売したDOS/V機が出荷されてから数年後にその市場は消滅していく。

●オフィスコンピュータは?

海外ではSBC(Small Business Computer)等と呼ばれたが日本では1970年代後半から独自の進化をたどり中小企業の財務会計や給与計算、販売管理といった、全社的な業務処理システムに多く導入され発展していったが1990年代後半にその役目をほぼ終わり各ベンダーはDOS/V機用のWindows対応のアプリケーションソフトがハードウエアとしてのオフコンビジネスを代替していった。

●日の丸パーソナルコンピュータは?

NECのPC98

NECのPC98

1982年10月に初号機「PC-9801」(ピーシーキュッパチ)がうまれ全盛期にはNECの事業の屋台骨にもなった(私の記憶によると全盛期の連結売上高は5000億円程度あったはず)。 私も大型コンピュータの端末にも似た洗練されたデザインは好きだったが国内に敵なしという状況の中で高価格戦略を維持していた為、手が出せなかった。
そこにDOS/V機が登場してから徐々にシェアが低下、Windows 95と同時に発売された PC-9821の廉価版のVALUESTARシリーズが販売された時点でその使命を終えた。

●そして「iモード」は?

このような状況の中で携帯電話という世界にとどまっていたはずの商品が「iモード」によりパソコン並みの機能を提供するようになったのだ。
携帯という製品ジャンルから「パソコンのオハコ」となっていたインターネット機能という本丸に「飛び出したからすごい」のか「パンドラの箱を開けてしまったのか」で評価が分かれるわけだが、少なくともビジネス的にはどうだったのかはまもなく判明することになる。

NTTドコモは「iモード」を2002年ごろから海外展開を始めたがこれによりことごとく失敗することになる。一説には海外投資で1兆5000億円にも上る損失を計上したようだ。 失敗の原因はやはりIBM互換機、つまりパソコンだ。

  • 海外の携帯電話の使い方は通話とSMSを送受信が中心だった。
  • 海外ではメールやネットはPCで行うのが一般的。 パソコンのコンテンツがみれないのは致命的だった。

その後パソコンの流れをうまくとらえたのがiPnoneになるわけだが、wikipediaによると「NTTドコモは2011年になってもiPhoneを SIM フリーとなっても販売しない、その理由はiPhone がiモードをサポートしないためだ」と言明したそうである。

まさに「ガラパゴス王国」という言葉がぴったり当てはまるエピソードであろう。

結論

私はiPhoneの熱狂的なファンではないし、「iモード」を毛嫌いしているわけでもない。 単に時間を効率的に使いたいからパソコンとの親和性の高いスマホを使い続けた。

ここで私が言いたかったのは正しいイノベーションを行うためには少なくとも「コンピュータ史」の理解が欠かせないということた(必要条件であり十分条件ではないが)。
それにより

  • 「iモード」が衰退することはサービス開始当初(1999)から予測できる。
  • 今でいう「スマホ」の出現を2005年時点で予測できる。

この程度の予測が可能だったということだ。

 

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