プチイノベ論考総まくり2016(上)
私がこのブログ(プチイノベ論考(*1))を始めたのは起業後半年がたった今年の2月だ。
日々の多忙に追われ「どうせ3日坊主になるだろう」、という軽い気持ちから始めたのだがおよそ10か月で53稿目となった。
今振り返るとよく続いたものだと我ながら感心しているが、日頃経営者のサポートをする中で私の背景にある考え方を伝えたいという思いがあったのは間違いないだろう。
まあしかし、いざやってみると事実や思想の裏どりに意外に多くに時間をとられなかなか読み直す時間が取れないまま、とにかくアップしてしまおうということが多かったのも事実で、あとから読むと苦笑いするような日本語に気づき、皆さんに混乱や不快な思いをさせてしまったとすると年末の反省の中に加えておきたい。
今後校正する時間をなるべくとるように心がけたいところだが、確約する自信もないので引き続き皆さんの「行間を読む力」に頼らざるを得ないのかもしれない。
そういう意味では講演でしゃべるときのほうがなんぼか楽なのだが、逆に言うと日ごろから裏を取る癖をつけているので講演では比較的楽にしゃべれるということなのかもしれない。
まだまだ自分の書きたいことの半分も書けてないが、そんな事情を時間が待ってくれるわけもなく、年末をむかえるにあたりこれまでの投稿の「総まくり」をしたいと思う。
あらためてプチイノベ論考について
弊社では中小企業の高付加価値経営をお手伝いするイノコンパートナー(*2)として経営者を陰からサポートする参謀役として活動させて頂いている。
そのような中、このブログ「プチイノベ論考」を初めてここまで続けてこれたのは主に2つの理由があると思っている。
このブログは筆者が約40年に渡りIT業界で学んできたものをベースに、日頃の経営コンサルとしての活動、具体的にはイノベーションによる高付加価値化、事業承継、プロジェクト支援などを行うにあたり私自身の根っこにある考え方のようなものをお伝えしたいというのが第一の理由だ。
つまり、顧問先の経営者に直接お話をさせて頂いたり、経営会議、戦略会議などで意見やコメントを言わせてもらっているが、そういう場面では話の流れがあるのでいちいちその場で全ての背景説明までできない場合もあるので、すこしでもそれをフォローしたいというやや身勝手な思いからである。
第二の理由は、近視眼的なコメンテーターの発言、ステレオタイプ的なマスメディアのストーリー作り、民主政治につきもののポピュリズムを意識せざるを得ない政治家達の政策、等に不幸にも出会うことが多くなったような気がするが、それらとは距離を置きたいという思い、あるいは自分の立ち位置を明確にしておきたいという思いからだ。
そして一人のIT屋が、このような大上段に構えたことを論じることができるようになったのは環境の変化にあるのではないだろうか?
約40年に渡り製品開発や研究開発を通してイノベーションの方向性を予測することを実践する中で、そのITとかICTと言われる技術が今やほぼ全ての産業に様々な形で浸透し且つ必要不可欠のものとなっている。
例えば現実の社会を抽象化して研究する学問の世界はどうだろうか? 私は純粋な研究者ではないが、やや思い付きでまとめてみると自然科学(物理学、土木、機械、電子、化学)、生命科学(生物学、医学、解剖学、栄養学、生体学)、人文科学(心理学、哲学、芸術、宗教)、社会科学(人類学、地政学、歴史学)、宇宙科学(地球、海洋、宇宙)などがあるが、ほとんどの学問がIT技術なしで発展することが難しくなっている。
卑近な例だが、これまで日本人のルーツに関しては諸説があったわけだが、その真実を解き明かそうとする研究グループの中から今年新たな研究成果がでてきた。
にこれまで発掘された人骨の歯根に注目して採取したDNAを調査したところ、ヨーロッパ人とアジア人が分化した直後に生まれたのが「謎の多い」縄文人で、日本人はその縄文人と渡来系弥生人(漢民族の祖先)の混血らしいということが分かってきたそうだ(但し研究継続中)。 このような分野にもIT技術が使われており、その結果これまでの常識や我々が学校で学んだ定説・仮説を次々と覆している。
まあそうだったとしても一人のIT技術者の考えには自ずと限界があり、偏見やら見当違いな点はあるだろうが、そこは憲法で保障されている「言論の自由」に甘えることとし、また異なった見解を持つ方々とはこれまでも大いに語り合ってきたし今後も議論を重ねていきたい。
一方、今年は「ハイパーポピュリズム」とか「スーパーナショナリズム」という言葉に代表されるような出来事、例えばブレグジット、トランプ旋風、イタリアの国民投票による首相の交代などがあり、更に来年の欧州での複数の選挙など、興味深いイベントが多い。
実際のコンサル業務においては、世界のリバランス問題や、貧富の格差の拡大という重い問題を全く無視することなどできるわけもないが、数十年単位のイノベーションというプチイノベ論考の視点からすると、少なくとも現時点ではそのような動きは一種のノイズでしかない。
例えば今のIT技術は1945年にフォン・ノイマン氏が発表した論文から端を発しているとされておりおり(所謂「ノイマン型コンピュータ」その考え方は約70年の流れの中でネットワーク技術を取り込みICT技術に成長した結果、1961年にジョンマッカーシー氏が予言したコンピュータユーティリティの時代、即ち誰でもが電気、水道、ガスと同様にコンピューティングパワーを使うことができる社会が到来した。この先はメッシュ社会になり・・・。 この続きは次稿に譲るが、そのようなタイムフレームをベースとするプチイノベ論考の中では今のところノイズにしかならない。
勿論、そこにどんな理屈を並べたとしても未来を正確に予知すること等できるはずもないが、数十年単位のこれまでの流れが急に異次元の世界に向かわない限りにおいて、ある程度のノイズや振幅幅を許容範囲に抱き込みながらその方向性を見出していく努力は無駄ではないだろう。
筆者もそのようなことを信じて「近視眼的にならず、ステレオタイプ的にならず、本質的なことと一過性のことを分別し、はやり言葉に流されず」という理想郷に向かって投稿をしてきたつもりだ(ちょっと苦しいか?)。
かかなり前置きが長くなったが、今回は年末という区切りにおいて、これまでの話を以下のテーマで総まくりしてみたい。
「従業員100人を超えた社長の未来塾」
書きたいことの半分も書けてない現時点ではかなり荷が重いテーマだが、やはりチャレンジすることは面白い。
(次稿に続く)
——————–付録
(*1)プチイノベ論考(「プチイノベ」の商標登録番号:第5880411号)
プチイノベーションの略でモバイルやクラウドの発達、SBC(シングルボードコンピュータ)の普及などにより中小企業でもスタートアップ企業でもイノベーションを起こすハードルが下がっている。
中小企業にもこれまでにないチャンスがやってきたという時代背景の中で、経営者に様々なヒントにしてもらおうということで弊社で作った造語が「プチイノベ」でことで、商標登録をしている。
(*2)イノコンパートナー(商標登録番号:第5876367号)
イノベーションコンサルティングパートナーの略で、世界の中で20~23位あたりをうろうろしている日本の低生産性の体質を改善できれば、たとえ「少子高齢化」(本当はこのよう出来の悪いステレオタイプ的な言葉は使いたくないのだが)が進んだとしても一人当たりのGDP(豊かさの指標)が向上し賃金も向上する。
今後AIの時代が来ると多くの仕事はとって代わられる中で、マクロ的には産業構造の転換、ミクロ的には高付加価値経営を実現するためイノベーションを推進する必要がある。 経営者がより低リスクでそれを実現するためのお手伝いをする、即ち経営者の参謀として後方支援するのがのが弊社の役目である。
弊社ではそのような活動をイノベーションコンサルティングパートナー、略してイノコンパートナーと称し、これを商標登録している。
2016年12月20日