人口と国力の関係
前回、「人口減少社会は悪なのか」というテーマで、「実はこの150年間に日本の人口が4倍に膨れ上がったのがむしろ異常で、我々に受け継がれてきたDNAが自然治癒力を発揮しているのではないか」という問題提起をした。
そこで素朴な疑問として上がってくるのが「それで日本は大丈夫か?」とか「日本の適正人口は?」だろう。
後者は”Who knows?”、これこそ百家争鳴、様々なご意見が噴出しそうなのでまずは前者の疑問について探っていこう。
人口と国力
「人口が減少していっても日本は大丈夫か?」の議論をする前に人口と国力の関係を先進国と言われているG7各国の総人口、国土、GDPの三大マクロ数字で比較してみよう。
先進国(G7)の人口、国土、GDPの比較 (*1)出典は後述)
人口(千人) | 国土(Km2) | GDP(10億US$) | |
アメリカ | 310,384 (3位) | 9,525,067 (4位) | 17,947.00 (1位) |
日本 | 126,536 (10位) | 377,972 (62位) | 4,123.26 (3位) |
ドイツ | 82,302 (15位) | 357,121 (63位) | 3,357.61 (4位) |
フランス | 62,787 (21位) | 551,500 (55位) | 2,421.56 (6位) |
イギリス | 62,036 (22位) | 242,495 (80位) | 2,849.35 (5位) |
イタリア | 60,551 (23位) | 301,336 (80位) | 1,815.76 (8位) |
カナダ | 34,017 (36位) | 9,984,670 (2位) | 1,552.39 (10位) |
特にイギリス、フランス、イタリアは人口約6000万人(世界21位~23位)にもかかわらずGDPは5位、6位、8位をキープしている。 そしてそれらの国が滅びゆく国でもなく、むしろ世界をリードしている立派な先進国、少なくともG7の中の一国なのだ。
これで人口減少に対して「人口が減少していっても日本は本当に大丈夫か?」なる疑問あるいは不安少しは解消されたのではないだろうか?
一方で、「子供の夏休みの宿題ではあるまいし、何を今さら」と感じておられる方も多いのでは?
確かにこの時代にこのようなマクロ指標だけで先進国を評価すること事体に違和感を感じる。
例えばGDPは一定期間に稼いだ国民の付加価値の総額、ざっくりいうと物やサービスの総額から原材料分を引いたものだが、単にそれだけでは測れないもの、分かりやすく言うと「豊かさ」とか「幸せ度」のような指標も含めて評価すべきだろう。 (続く)
————(*1)出典
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人口
国際連合経済社会局人口部『世界の人口推計 2011年版』2010年の推計
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国土面積
Wikipediaから引用
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GDP
SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ<出典>IMF – World Economic Outlook Databases (2016年4月版)
2016年9月29日