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ドローンのビジネス動向
ホビー用ドローン市場で圧倒的なシェアを誇っているのが中国のDJI社だ。 読者の皆さんにはDJIより「ファントム(Phantom)」の方がなじみが深いかもしれない。
中国DJI社の強さの理由
2006年に設立した中国のDJI社が約7割という圧倒的なシェアを獲得した理由はなんだったのだろうか?
それは、コンシューマー市場で一般ユーザーのニーズを的確にとらえたPhantomの製品戦略だったのではないだろうか?
①2013年1月に発売したPhantom1にGoProカメラを搭載したこと
②同じ年に発売したPhantom2で電子制御3軸ジンバル付きのカメラが搭載されたこと
私がダイビング用にGoProカメラを購入したのが2013年。 当時水中カメラ(ハウジングを使用)は持っていたがダイビング中のビデオ映像をどうしても取りたかったので拠点とするケアンズ空港で衝動買いをしたのを覚えている。この年はスカイダイビング、スキー、マウンテンバイクのダウンヒルなどでアクションカメラが使われ始めた年だ。
そのようなニーズをとらえ2013年初頭という絶妙なタイミングでGoProに対応し、更にマルチコプターの激しい動きにも安定感のある映像が撮影できるよう電動式ジンバルをいち早く搭載してくるあたりがPhantomを大成功に導いたカギだったのではないだろうか?
今やホビー用マルチコプターの構成部品はモジュール化されほとんど市販品で作れると言われているが、ホビー用で7割のシェアをたたき出しているのは、中国人のビジネスの目利きと対応の速さだろう。
このDJI社、今後は日本が力を入れている産業分野にも積極的に商品展開してくるそうだ。
その他のドローンメーカー3社を紹介
1、Parrot社(http://www.parrot.com/jp/)
前述したフランスのParrot社。
もともとは自動車向けの車載製品等のメーカーだったが、現在のParrotの事業は大きく分けて以下の3ラインだ。
- 自動車関連機器
- 「Connected Objects」
コンシューマー用のBluetooth接続オーディオ機器や、スマートフォン用ヘッドセット。 - ドローン
前回映像で紹介したクワッドコプター「AR Drone」(http://benetech.xsrv.jp/wp/ndq9)以外に地上をアクロバット走行する「Jumping Sumo」等の変わり種も登場している。 (百聞は一見に如かず、以下の映像を参照してほしい。)
発想豊かな面白い会社だ。
やはり今後は産業分野へも積極的にビジネス展開していくらしい。
2、MICRO DRONES(http://www.microdrones.com/en/home/)
ドイツのドローンメーカーで日本では2011年4月から株式会社イメージワンが販売を開始している。
特徴は以下の通りで日本と同様に産業用にフォーカスしている。
- 事前に計画された飛行ルートや撮影ポイントに従い撮影しリアルタイムで 地上で確認可能。
- フライトレコーダーに記録可能
- 低高度撮影が可能で環境、農業、森林など様々な分野で監視、測量、点検、観察が可能
2006年4月に販売開始以来、考古学、監視、プラント検査、火災事故の救出現場、国境管理、警察、特殊部隊、軍などの販売実績あり。
3、3D Robotics http://3drobotics.com/
米国最大手のドローンメーカーで2015年4月にSOLOを発売。
「New Solo Drone Promises To Make Aerial Videography Easy(Soloは簡単に空中映像を撮れる)」と言っているのでもわかるようにコンシューマー向け製品が主力だったが、この分野は中国のDJI社が圧倒的強さを持っているため2016年3月にはレイオフを発表、これからはビジネス市場に方向転換するようだ。
さて、日本のドローン事情はどうなっているのだろうか?
(次回に続く)
2016年4月16日