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憲法改正って本当に他人事?
皆さんもご存じのとおり紆余曲折はあったが、1946年11月の憲法公布から70年を迎える今年の3月29日に集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が施行された。
これで、制限付きではあるが自衛隊の海外での武力行使や、米軍など他国軍への後方支援が世界中で可能となり、戦後日本が維持してきた「専守防衛」「個別的自衛権」の考え方(憲法の解釈)を転換することになったわけだ。
安倍首相の思いが曲がりなりにも通った?、親子3代でようやく手に入れた宝刀?
などと揶揄する方々もいるが、その家系図を見るとなぜか安倍晋三氏の宿命のようなものを感じる。
明治時代の重鎮だった大久保利通の孫にあたる故吉田茂元首相とも縁戚関係にあり、大淑父である故佐藤栄作元首相、そして祖父である故岸信介元首相、父は数々の重職につき「ポスト竹下」とまで言われながら外務大臣として67歳の若さで亡くなった安倍晋太郎氏だ。
現盟友で吉田茂氏の孫にあたる財務相麻生太郎氏とも縁戚関係にある。
まあ、だからと言って「憲法解釈による集団的自衛権容認」を一方的に正当化することにはならないだろうし、逆にこれにより現政権下で「憲法改正」をすることが難しくなったのかもしれない。
(出展:財界家系譜大観・第二版(常盤書院)等。 尚、安倍首相に関係のあるところのみを抜粋している)
(参照:http://gazou-netsuai-news.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_168/gazou-netsuai-news/k_fukuda_yasuo_asou_tarou.gif?c=a1)
ショッキングな世論調査結果
そんな中で今年の4月にNHKの憲法改正に関する世論調査が行われた。
- 「改正する必要があると思う」は27%、
- 「改正する必要はないと思う」が31%、
- 「どちらともいえない」は38%
またこの3年間で「改正が必要」と思う人はほぼ横ばいで「必要がない」が増加し続け、とうとう今年は逆転して4ポイントもの差が出ている。
(毎日ニュース提供のNHK世論調査:https://www.youtube.com/watch?v=NkxtB3OPbsY&feature=youtu.be)
ショッキングだったのはその理由だ。
この動画を見てお分かりのように、安全保障関連法が施行したばかりとはいえ、賛成派も反対派も「憲法=9条」かのような回答をしている点だ。
国の安全保障に関して記載されているのは全103条のうち第9条のみだ。
勿論1条しかないから重要なのだという考え方もあるが、もしその1条だけで憲法改正が不要だとお考えの方が多いとすると、大変貴重な機会を逸しているのではないだろうか?
私は今の憲法を改正すべきだと考えているが、それはこの憲法が当時のGHQ下で作成されたからでも自民党の立党目的が憲法改正だからでもない。 確かに今の自衛隊の機能(あるいは自衛隊員)を憲法でどのように担保するのか?とか終戦直後の文章なので読みにくいという表記上の問題(*1)等は気になるところではある。 しかし改正すべきだと考える積極的な理由は別のところにある。
それは今の社会情勢から要請される新たな守るべき人権のために修正や追加をした方が日本の社会法制、ひいては我々国民がより快適に生活できる可能性がある、と考えるからだ。
まあそういう意味ではNHKの世論調査の「質問の仕方」にも問題があるだろうし、それが故に「どちらともいえない」と回答した人が多いのは、ある意味「せめてもの救い」なのかもしれない。
(*1): 表記上の問題
旧仮名遣い、例えば「ゐ」、「行ふ」、「問はれない」等や当用漢字以前の旧字体で書かれている。 まあこれは改正するときについでに修正すれば済む話だね。
もっと気軽に憲法を語ろう!
こんな表題にすると「おまえは右翼か」等とお叱りを受けそうだが(少なくとも自覚症状は全くない、笑)、5月3日の憲法記念日に改めて憲法を眺めてみたり、前述したNHKの世論調査結果を聞いたりしているうちにこの国はまだまだ憲法改正をするだけの素地というのか、気運なのか、そんなものが醸成されてないことを痛感したとき、頭に浮かんだのが表題の「もっと気軽に憲法を語ろう」だった。
私は法律が嫌いというと嘘になるが、この分野は全くの素人といっていい。 しかし皆さんもご存知の通り、憲法を改正するには必ず国民投票が必要となり、その時には我々国民一人一人がその是非を判断しなければならない。 つまり決して他人事ではないのだ。
「だったらほっとけばいいじゃないか」と思われる方もいるかもしれないが、日々イノベーションが起き、様々な発明(インベンション)が実用化され、それに伴い社会情勢が日々刻々と変化している。 我々の生活を守るための国民の正当な権利も70年前とは当然のように変わってきているのだ。
確かに今すぐ改正する必要はないかもしれないが、このまま放っておくとどうなるのだろうか? 「憲法と実社会のかい離」が大きくなり、判例(最高裁の判決)を作るために多くの方の多くの時間を消費することになり、しかも判事といえども人の子、どこかに恣意的なものが入る可能性だって否定できない。
そうならないためにも10年程度先を見据え、今から「日常会話に憲法はタブー」という風潮を少しずつ変えつつ、来るべき「改正の是非判断をする日」に備えておくべきではないだろうか?
なんといっても憲法の目的は「我々の人権を守るため」にあり、その手段として「国権を制限」してくれるとっても「ありがたいタカラモノ」だからだ。
次稿では(いつになるか不明、笑)何故憲法改正が必要なのかをより具体的に皆さんと考えてみたい。
2016年5月9日