私が主にコンサルティング活動しているのはIT系の企業が多いが、従業員が100人を超えたあたりで一つの踊り場を迎えることが多いようだ。
それは例えばこんな感じだ。
「起業後、チャンスをつかみながら – それは最初は小さいが次第に大きくなっていく – 当初経営目標にしていたビジネスが軌道に乗り仲間も増えていく。 そしてその中からスター選手が出てきてさらに業績が上がる。 もちろんその発展が順調に進むこともあるが多くの場合試練、修羅場を経験し紆余曲折を繰り返す中で、それでも突き進む経営者の強い信念のもと製品やサービスがヒットすることにより、更に多くの仲間が集まってくる。
そして彼らを組織化し、財務管理、人事管理、人財教育まで整備しつつ従業員100人を超えたあたりで、また新たな踊り場が来る。
例えば、多くの経営者が経験することは日々起きる課題を次々と解決していき、都度最善と思われる打ち手を打ってきたが、
「頑張っている割にはいまいち業績が上がらない」、
「色々な新技術やイノベーションが起きているがわが社は今のままでよいのか?」
「もっともっと若い人に将来生きる技術を学ばせたい」
と思われている方も多いのではないだろうか?
中には、新しい事業にチャレンジしたいが
「どんな技術を選択すればよいのか?」
「そのために先行投資したいが会社全体のお金の流れが漠然としておりなかなか決断ができない」
と、お考えての方もいるだろう。
また、いざ開発を進めてみると
「プロジェクトの実態が良くつかめない。」
「良い報告ばかりあげてくるが本当にうまくいっているのか?」
「品質重視、納期厳守は社是、日頃から幹部に檄を飛ばしているが何故守れないのか」
更には
「私が日ごろから啓もうしていることが本当に社員に伝わっているのか」
「若い人の思いや考え方がいまいち理解できてない」
と首をかしげる経営者も多いのではないだろうか?
そこで経営者は3つの典型的なパターンを選択することになる。
- 当初の目標が達成されたことにより巡航速度、即ちとにかくその状態をなんとか維持しようとする
- 人月商売、ピンハネ商法により更に規模を拡大する
- 仲間とともに更なるイノベーションを模索し高付加価値経営の実現を図る
弊社のミッションが「イノベーションによる高付加価値経営を目指す経営者の参謀として支援する」事なので、お付き合いさせてもらっているパートナー企業様は全て上記の中の最後のパターンである。 もちろん各企業の経営者のお考えや得意分野、保有するリソース等(人財、資金力、技術等)によりその方向性は様々だ。
まずは高付加価値経営を目指すためにどのようなイノベーションを起こすのかを腹に落ちるまで検討する事。その方法のヒントは後述するが、もしその方向性が決まったならそれを企業理念、企業方針、ビジョン等に掲げ、それに基づいて中期計画、事業計画等を立てそれを社員とともに共有し自分たちの企業の進んでいく方向を明確にうちだしていく。
経営者にとってそれはその後の金、物、人に対する投資を行う際の最終的な判断基準となり、社員にとっては業務を遂行する上での道しるべとなる。
それを徹底するためには幹部会や全体会で社員に刷り込むことが重要だが、特に私がお勧めしているのはそれを紙に書いて壁に貼っておくことだ。
その効果をお疑いの方はブライアン・トレーシー氏の「働きがいのある人生」を紹介しておく。
『明確な目標と具体的な行動計画を紙に書きとめている人は3%にも満たない。』
『この3%の人は、目標を明記していない人と比べると、同じ期間で平均して10倍もの収入を上げている』
『目標と行動計画を紙に書けば、それらを達成する可能性が10倍にも跳ね上がる』